課題と方向
市来町の現状を踏まえた上で、小規模事業者活性化の主な課題と、その解決のための取り組みの方向は、次の通りである。

1 人口減少による消費者減少への対応
現状で見たとおり、本町の人口は減少トレンドにある。現在、市来町においては宅地開発等、定住促進のための諸施策が積極的に展開されているところであり、一定の成果を上げていると考えられる。しかし、人口の減少は、高齢化の進行や少子化傾向という全国的な流れとなっており、本町においても、その影響は免れないものと思われる。その意味では、本町における地域内消費市場は将来的に縮小していくと考えざるを得ないのが現状である。 このため、小規模事業者活性化の基本前提である消費者の確保について、今後積極的な取り組みが必要となることは当然の方向性である。 その目標は、第一には、既存の定住施策の充実強化による定住人口の確保であり、同時に、地域外からの、しかも経済交流という質的要件を満たした交流人口の確保を図っていく必要がある。

2 広域交通体系の活用
九州西回り自動車道市来インターの開設が間近に迫り、国道3号線の整備も進展しつつあるなど、本町を取り巻く広域交通体系の整備は着実に進みつつある。このような、広域交通体系の整備は、本町の交流人口獲得の最大の目標である鹿児島市との連結性を確実に高めるばかりでなく、他の地域からの本町への流入を高める効果があることは言うまでもない。反対に、都市部との連結性が高まることは、本町からの流出を招くいわゆるストロー現象を惹起する可能性もある。従って、本町においては、広域交通体系を活用しながら他地域からの交流人口の確保を図りつつ、本町からの流出を極力抑制する、都市的機能の充実や地域個性を生かした魅力的な空間形成等の方策の確立が急務である。

3 商業地域の再集積化
本町における商機能は、国道3号線により分断され脆弱化していることは先述の通りである。本町経済の中心的機能を果たす商機能については、都市的機能の充実や魅力的な空間形成という交流人口確保からの要請としても、再集積化の方向で検討される必要がある。

4 市来のイメージの確立
交流人口の拡大にしろ、定住人口の確保・人口流出の抑制にしろ、人をこの地に止めるためには、単に各種機能や施設を整備するだけではなく、本町にしかない魅力の創出が不可欠である。そのため、本町固有の物的、文化的地域資源を十分に掘り起こし、他地域にはない個性的な空間づくりの素材として、十分に活用していく必要がある。

5 情報発信
どのように個性的、魅力的な空間や施設であっても、その存在が認知されなければ意味がない。積極的な情報発信があって、初めて価値を持つものである。従って、本町の地域情報を集積・加工し、積極的な発信を行うシステムの確立が必要である。

V市来町地域活性化の方向性

1 基本的な考え方
本町の現状から、今後、市来町の活性化を図るには、市来町固有の地域の魅力を高め、整備が進展しつつある広域交通体系を生かした交流人口の増大、定住人口の獲得を図ることが基本的な戦略の方向と考えられる。 同時に、これにより獲得される交流人口を、本町小規模事業者の振興に寄与する顕在的な存在とするため、その前提となる商業集積および交流空間の形成を図る必要がある。

2 地域活性化のテーマ
本町の活性化を図るため、その前提となる交流空間や商業集積の形成を進めるに際しては、そのための各種事業が全体としてまとまりのある整備や活動となる必要がある。すなわち、統一されたテーマの下に、地域活性化に関わる事業を推進することにより、固有の市来らしさを演出し、地域の人々にとっては市来町への帰属意識/地域社会への参加の自覚を高め、地域外の人々にとっては、市来町の個性をよりわかりやすくかつ親しめるものとしていく必要がある。そこで、市来町にふさわしい地域イメージを考えるとき、本町においては。もっとも大きな人口集積地が海岸線に大変近く、海に沈む夕陽は市来を象徴する代表的な存在であることに気づく。今日、人々の価値観は、これまでの経済中心・モノ中心の価値観から、感性や個性を大切にする、心を重視する価値観へと変化しつつあるといわれている。その点、夕陽は、古くから人々に内省を促し、心の充足を取り戻すシンボルとして認識されており、まさに心の時代にふさわしい象徴と考えられる。そこで、市来町においては、「夕陽」を地域活性化の中心テーマとして捉え、地域活性化のためのあり方を検討する。

3 夕陽の持つイメージ
専門委員会で検討された主な夕陽のイメージは、次のとおりである。
あたたかさ: 夕陽の色合い/人と人との暖かいふれあいの空間作り
くつろぎ、団らん: 一日を終え、ほっとする時/安らぎの空間作り
内省(自己との出会い) 自己実現の空間作り
安心: 夕陽の暖かさや安らぎから生まれる安心空間作り
地域性: かんきつ類や焼酎など市来町の特産品のイメージや七夕踊りなどの伝統行事等、地域個性とのつながり

4 ビジョンの目標(市来町の将来像)
夕陽をテーマとしながらどのような町を目指すか
行ってみたい、住んでみたい、ずっと住みたい町
安心して暮らせる町
交通アクセスを活かす町
環境にやさしい町
人々の笑顔が行き交う町

5 基本理念
以上のようなことから、本ビジョンにおいては、市来に住む人や市来を訪れる人が、夕陽に象徴されるような暖かさや、安らぎ、安心感の中で、多様な人々と交流し、その結果として、小規模事業者の活性化を創出していくことを、基本的な方向として、検討を進めていくこととする。
このような意味をこめて、本ビジョンの基本理念を

サンセットコミュニティタウン市来の創造
   〜夕陽の中に多様な笑顔が行き交うふるさとづくり〜

とし、本町活性化のための施策の検討を行う事とする。

6 構成
本ビジョンは、市来町振興の中でも、特に小規模事業者の振興に関わりの深い商業振興、観光振興、人材育成、およびそれらの実現のための考え方について、既存施設の活用を前提としながら、検討を行う。

7 基本方針
本ビジョンにおける施策は、基本理念はもとより、基本的に次の方針を踏まえたものとする。
  自然環境の保全・育成
  地域文化の意匠・デザインの導入
  住民参画の仕掛け作り
  地域経済への波及効果の確保


W 商業振興

1 基本的な考え方
本町商業の問題点は、本来の商業集積が、道路整備により分断され、その集積効果が薄いことに起因するものと考えられる。このため、最近の消費者の指向を踏まえた店作りや品揃え、価格抑制等の経営面での改善に先行し、新たな商機能の集積を図る必要がある。

2 商機能集積の考え方
湊町周辺を中心的な商機能集積地として捉え、広域交通体系からの誘導拠点として市来インター予定地周辺を第2拠点とする複眼構造とする。

(1)まちなか商業空間
@位置
  おおむね既存商店街周辺地域
A機能
調整機能:小規模事業者活性化の企画調整等中枢機能
地域の台所:地域住民の日常の買い物空間
地域サロン:地域内外の多様な人々が恒常的に出入りをし、情報交換や活性化への取り組みの検討等を行う場
交流空間:まちなかを行き交う人の交流空間
イベント:夕焼けの市、サンセットコンサート等のまちなかイベント空間
伝統文化集積:山笠、民具などの市来の個性的文化の常設展示
B整備の内容等
核施設:地域サロン、伝統文化の保存・展示、特産品販売所等
商業施設:個店の移転集積等 夕陽の展望所
お祭り広場:イベント会場および交流空間
駐車場および休憩施設、トイレ等補助施設

(2)インター周辺商業空間
@位置
  おおむね市来インター周辺季楽館を中心
A機能
広域交通体系経由の誘客
情報提供機能:市来の地域情報の提供
特産品販売:市来の特産品販売の中心機能
飲食機能:地域素材を活用した市来メニューの提供
B整備の内容等
核施設:季楽館(既設)の充実強化
飲食物販施設:特産品販売機能の充実強化
体験農園との連携
駐車場および休憩施設、トイレ等補助施設

3 その他商店街再整備への取り組み
高齢者に総合的な商店街形成を目標に、(1)まちなか商業空間を核として、地域住民に支持される個性的な商店街づくりを目指す

@利用者の利便性の確保

商店街を取り巻く宅地開発や観光ポイントからの誘導などの施策の展開
環境整備/景観形成、緑化、まちなか整備等との連動、バリアフリー化、景観形成基準(高さ、色合い、様式等)の設定、電線地中化
商機能の集積地との連動

A不足する機能の整備
飲食機能
憩いの場・観光客への情報提供機能/空き店舗利用
地域内外の人との交流空間
駐車場確保

X 観光振興
(1)自然とのふれあい空間
観音ガ池を中心に、山と川を活用した自然と親しむための空間整備を行い、まちなか商業空間、インター商業空間とともに、本町における交流空間の面的な広がりを確保する。

ネイチャリングフィールド
カヌー等リバースポーツの場の整備
夕陽の鑑賞の場:サンセットデッキ
駐車場、トイレ等の補助施設

(2)市来固有のイベントの創出(発掘)
本ビジョンのテーマである夕陽に徹底的にこだわった、市来にしかないイベントに取り組み、市来の情報発信を行うとともに、地域住民による市来の再認識、地域外の人の市来への来訪の誘因を創出する。

サンセットコンサート
夕陽フォトコンテスト
サンセットウエデイング
夕市

(3)体験型観光スポット・システムの整備
特産品生産体験、蜜柑等の観光農業、地引き網

(4)補助機能の整備
補助的施設の充実
観光案内板の統一
トイレ
駐車場
休憩施設

(5)ソフト事業の充実
@観光と地域経済との連携組織の確立
  /想定団体、付与機能、行政や既存団体との関係
A地域情報提供ネットワークの形成
  /町外在住者や通勤者の活用、情報発信組織、情報集積発信主体
B市来案内人
  高齢者を活用した観光案内人制度
  地域情報提供体制の確立 地域サロン等を活用した、いつでも誰でも利用できる情報提供機能の充実強化


(6)冬を意識した観光地、イベントづくり
観光は、おおむね春、夏、秋のオンシーズンを意識して、施設整備やイベントの開催等が行われる。従って、この季節での観光施策は、地域間競争が激しく、投資規模や人材確保の負担が大きくなり、経済効果の確保や実質的な活性化の達成に無理が生じやすくなる。そこで比較的競合の少ない冬季の観光を中心に、本町の温泉や柑橘類等を活かしながら、新たなプログラムを提供することにより、冬場の観光客の掘り起こしをねらう戦 略づくりが必要である。
   ・冬の味覚
   ・冬の浜遊び
   ・冬の花火大会


Y 人材育成
地域活性化を担うのも、またその利益を享受するのも、人である。従って人材の確保と育成は、地域活性化の最も基本的な重要な施策であり、今後の積極的な展開が望まれる。

(1)人材獲得・育成の仕掛けとしての交流空間の創設
人材は、まずどのような特性を持つ人が市来にいるかという、人材の把握から始まる が、そのためには、恒常的に様々な人々が集う交流空間の整備の必要がある。  このような交流空間は、まちなか商業空間の地域サロンが、その機能を担うものとして考えられるが、ここでの多様な価値観を持つ人々との交流や情報の集積は、さらに人材に磨きをかけ、育成する場としての機能も持つことになる。

(2)人材育成のスタッフとプログラムの確立

人材の把握や育成のためには、それを補佐するスタッフと、市来の地域活性化の方向性に即した育成プログラムが必要となる。スタッフについては、人材育成と同時に各種地域活性化のための取り組みを行うものであり、当初は商工会青年部等を核としながら広く地域住民の参画を求めた組織作りを行う必要がある。また、人材育成のプログラムは、市来の地域活性化の方向性に即したものである必要があり、市来に不足する人材、これから必要とされる人材についての検討を行う必要がある。

(3)町外在住者を含む市来ネットワークの形成

地域活性化は、多様な人々の欲求に適格に応えなければならない面があり、地域内だけで人材を確保・育成するのは困難な面がある。そこで、町外在住者を含め、いわゆる市来ファンを束ねるネットワークを形成し、幅広い人材確保を図ると同時に、地域情報発信・集積の仕掛けとする。


Z 実現化のための取り組み

(1)ビジョン推進体制の確立
本ビジョン策定委員会を基本に、「仮称:市来町地域活性化委員会」を設置し、構想実現のための取り組みの核とする。

(2) 官民の一体性の確保
行政、産業、住民、商工会が一体となった地域活性化に取り組むため、(1)委員会を中心に、情報の共有化の促進、協働事業の開催などを実施する。

(3) 組織の連携・統合
本町活性化のための各種組織は、同一目的の基に結成・運営されており、人材の有効活用や、事業の効率的運営などの観点から、連携強化、あるいは統合に向けて、内容を検討する。

(4)事業内容の広報
本ビジョンに基づく事業や町全体の地域活性化の取り組みについて、あらゆる手段を通じて、積極的な情報提供を図る。

(5)段階的な取り組み

本ビジョンの内容は、その実現に要する経費や期間などが多岐にわたっている。そのため、すぐにできる事業、中期的な事業、長期的な事業に分けできる事業から順次計画的・段階的な実現を図っていく。

(6)シンボルマークの制定
市来町活性化のシンボルとして、また地域のイメージを発信する手段として、町民参加を得ながら、シンボルマークの制定を行う。